自然暦と環境口誦の世界

(著) 野本寛一

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[商品について]

――高知の漁師に伝わる言い伝え「〇〇が来る時は西風か北西の風が吹く」、この〇〇に入る生きものは次のどれでしょうか。

1.クジラ、2.カモメ、3.カツオ

正解は本書「第Ⅱ章 環境口誦 気象 一 風 (二)風に吹かれて」をご覧ください。

「ヒグラシが鳴くと梅雨が明ける」「ナマズが騒ぐと地震が起こる」など、近代科学が誕生する以前より遥か昔から、人々は自然の観察に基づいて生活環境を合理的に解釈し、その知恵を伝承しながら生きてきた。本書はそうした伝承について、行動の指標を知らせる自然暦と行動を促す環境口誦に焦点を当て、自ら訪ね歩いて採録した自然暦、環境口誦を「花」「生き物」「雪」「雲」などのテーマでまとめた資料的価値も高い記録集。


[目次]

序章 自然のしるべと人の営み

第Ⅰ章 自然暦

一 花

二 木の葉──芽立ち・葉生い・色みと落葉・木の実

三 生きもの

四 雪

五 指標となった人の営み

第Ⅱ章 環境口誦

気  象

一 風

二 雪

三 台風の予兆伝承

四 雲

五 雨

六 雷

七 霜と霧

八 氷

九 日々の天気予測

海象・天象

一 潮動と民俗

二 月の盈虚と人為

諸象拾遺

一 地形・焼畑適地

二 動物伝承

三 豊作・豊漁の予兆

第Ⅲ章 旅途掌考

一 種籾に寄せて

二 銚子大漁節

三 社会変容の中で風化するもの―櫓舟と風を緒として―

四 水納島の環境と民俗―知念勇吉さんの語りから―

五 「寒」の民俗

六 白い花の譜

七 しだれ桜と髯籠

あとがき

◇著者紹介


[担当からのコメント]

自然を観察して生活に必要な知恵を得る自然暦は、本書に取り上げられたもの以外にも日本全国にあるのではないかと思います。一度途絶えると決してとり戻すことができない、貴重な文化遺産でもあるこうした伝承に、ぜひ多くの方が関心を持っていただければ嬉しく思います。

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