地学の窓から故郷(ふるさと)をみれば ――関川村・地球さんぽ

(著) 佐藤貞治

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作品詳細

[商品について]
――関川村田麦でとれる「アキタニシキ」とは、次のうちのどれでしょうか。
1.古代米、2.貝の化石、3.さくらんぼ
限られた場所でしか産出しない貴重なものということです。正解は、本書「田麦のアキタニシキ」をご覧ください。

名峰・杁差岳や光兎山をはじめとする山々に囲まれ、清流・荒川が村の中央を流れる自然豊かな新潟県関川村。荒川とその支流である大石川や女川によって刻まれた峡谷や、河岸段丘が整然と展開する景観は、長い年月をかけて作り上げられた地球の変動の物語の所産である。本書は、長く県立高校で教鞭をとりながら地学を研究してきた著者が、村内の地質を丹念に調査し、地質学や地域の歴史、習俗などの視点からみた関川村の魅力を綴った地学エッセイである。

[出版社からのコメント]
私たちの足もとには、かつてそこに暮らしていた人々の痕跡があり、さらにその奥には大地の成り立ちの歴史が眠っています。人や文化の繋がりだけでなく、悠久の自然の歴史の中で自分のふるさとについて思いを馳せる、そんな時間を本書を通じて楽しんでいただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
佐藤 貞治(さとう・ていじ)

1935年(昭和10年)9月20日新潟県関川村生まれ。
昭和34年新潟大学教育学部卒業。
以来、平成8年に県立村上高校を退職するまで教員。
現在関川村教育委員長、せきかわ歴史とみちの館館長。
日本地質学会会員、地学団体研究会会員、新潟県地学教育研究会会員。

[読者から頂いたお声]
地質学から故郷を知るという視点が面白いと思い拝読させていただきました。
関川村というところを本書にてはじめて知りました。はじめてではありましたが、本書ではその地の歴史についても簡潔にそれでいて詳しく書き記されているためとてもとても分かりやすかったです。その地にある石や山、化石など幅広く研究されており、著者様のその地に対する愛情を感じました。さざれ石から始まり、八幡太郎石、大里峠の蛇骨、鷹の巣遊歩道などそれらひとつひとつを見つけることですら長い年月がかかっているかと思います。その上、そのひとつひとつについて現地に赴き実際に研究されていることがとても素晴らしいことだと感じています。『広報せきかわ』にて約2年半連載されていたとのことでしたが、おそらくこの研究自体は、その何倍もの歳月をかけてされていたのではないでしょうか。また、著者様は高校の先生をされ、後にせきかわ歴史とみちの館館長を務められていると拝見いたしました。そのことからもこの関川村にとって著者様はなくてはならない存在なのだろうなと推察しております。そう考えたとき、本書は必ず後世に残すべき一冊だと、思いました。専門的な書籍でもございますので、読まれる方は限られるかもしれません。ですが、著者様の調べられた歴史は関川村の方々にとって語り継ぐべき事柄だと思いますし、必ず著者様の活動に感謝される読者も現れると思います。私も、学生のころ、地元の歴史についてをテーマにグループワークのような授業をした経験があります。そういった際に、なかなか資料が見つからず苦労したことを思い出しました。そういった授業を関川村の方々がされるかはわかりませんが、その地域に住まわれている学生の方々にとっても研究課題として貴重なのではないでしょうか。どの地域に関しても、歴史はどこかで途切れてしまいます。そこから以前のことは研究し、推察することでしか後世に伝えられません。そして我々が生きている今もいつかは、江戸時代のように古い歴史のひとつになります。だからこそ、著者様のような方の研究とその歴史を書き記すことは大変素晴らしいことだと思いました。 (30代:男性)

本書を読んで、普段なにげなく見ている風景の中から地球の歴史を学べるものがたくさんあるあることがわかり、とても感慨深く感じました。石の特徴から海の中であったり、溶岩からできていたりと昔はどのような環境であったのか、実はそれらを調べてみると昔どのような環境だったのか想像することができ、地球の長い歴史のなかで、私たちの住んでいる地域の特徴がわかりました。
また地層から出た化石から、どの地層がどの年代であるかも化石になった生物が生きていた時代から、いつ頃の時代なのかがわかるというもの、読んでいて面白かったです。特に貝の化石はよく残るのに対し、サメの骨は柔らかいため、実は化石として残らないといった新たな知識も得ることができ、普段触れない知識に触れることで刺激を受けました。私の出身地である山梨県上野原市も露出してる地層から貝殻がたくさんとれる地域で、子供のころはたくさん掘って集めて遊んでいましたが、今考えれば、昔は海であったことを証明する証拠になっているのだと、読みながら思いました。
本書の中で碧玉(青めのう)が紹介されていました。その特徴の説明部分からとラピュタにでてくる飛行石のような特徴を持った石と思いましたので、ラピュタの飛行石は実は碧玉(青めのう)からヒントを得て、映像であのように表現されたのかなと妄想が膨らみました。
また、石膏は海底火山活動からもたらされた鉱物であるとのことで、昔は海底火山が活発に動いていたことを考えると噴火が恐ろしいと考えますが、今は落ち着いていて、おかげて海底火山がもたらしたたくさんの鉱物を採掘することができ、地域の発展に役立ったと考えると、昔は恐ろしい地域であったことが繁栄につながってくるものと直接結びつけると不思議な気持ちになりました。
本書を読んで、なにげなく通り過ぎる景色をたまには近づいてゆっくりとみて、石や土の色などから私たちが住んでいる、暮らしている地域の歴史を感じることをやってみたいと思います。(50代:男性)

本書を読んで、私たちの住んでいる地域は足を止めてよく見れば、その地域の歴史がよくわかるものがたくさんあるのだなと思いました。以前、旅行で佐渡島に行った際に金山後に観光で伺いましたが、どうしてあのような場所で金がたくさん撮れたのか、その理由が本書を読んでわかりました。意外なところで過去の経験と結びついたことに感謝致します。
本書では、関川村の地域の歴史を地層や化石、石などの特徴から昔はどのような環境であったのか説明をしています。170万年前の地層ですと言われてもぴんと来ませんが、そのくらい大昔に存在していたものが、現代でも形として残っているものがたくさんあるというのが、驚いた部分です。地層に残された化石たち、当時の形を保ったまま保存されていたと考えると自然というのは不思議がたくさんあります。特に植物の化石が残っているのは意外でした。植物は土に溶けてしまうイメージがありましたので、化石として姿が残っていると、昔はどのような植物が生えており、それを食べる動物もいたでしょうから、どのような生態系の地域だったのかも想像ができるのは面白いです。
赤い土の色がなぜ赤いのかについても説明がされており、混ざっている鉱物が酸化していると土が赤くなると記載があり、なるほどと思いました。子供のころ、よく土遊びをしましたが、赤くて柔らかい粘土のような土がありましたが、それは酸化した鉱物を含んでいるから色が赤かったと知ると、面白いものです。
きっと地元地域を流れる川にある大きな石などを詳しく調べると、どの時代に作られたものかわかるのでしょう。そして、昔は海に沈んでいて、どのような生物が暮らしていたかもわかると考えると少し、わくわくします。
本書を読んで、自分の出身地は山奥の田舎なので、今度出身地に帰ったときにゆっくりと周りを見渡してみて、昔はどのような環境であったのか感じて、過ごしてみたいと思いました。(50代:女性)

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